2016年12月26日月曜日

「幸せのメカニズム」

「幸せのメカニズム」(前野隆司 講談社現代新書)を読みました。



facebookで紹介があり、気になっていた本ですが、新宿で少し時間ができたときに、紀伊國屋書店で思いだし、早速購入。
すこし読むのに時間がかかってしまいましたが、頷くこと、腹落ちすることが多い本でした。

気づきをいただいた中から何点か備忘録として残しておきます。

◆フォーシング・イリュージョン
 「フォーカシング・イリュージョン」という言葉は知りませんでした。
 この本の中で、カーネマン博士の説明が引用されています。

  『人は所得などの特定の価値を得ることが必ずしも幸福に直結しないにもかかわらず、
   それらを過大評価してしまう傾向がある』
 
 経済の発展は、必ずしも幸せを約束するものではないのですが、それを目指してしまう。
 「幻想」を目指してしまう(フォーカシング・イリュージョン)というわけです。

 年収1千万円を超えると、感情的幸福は相関しないのだそうです。
 でも、年収が増えた方や今より楽しいはず、面白いはず、幸福なはず・・・イリュージョンですね。

 この本では「地位財」という言葉を使っています。お金、名誉、出世。物的材など他の人と比較できるもの。
 この地位財が幸せの近道だと目指してしまうことを繰り返す。でも、それを達して満足できる期間はとても短く、さらなる上を目指すという訳です。

 一方、「非地位財」は、幸せの期間が長く続くので、こちらを目指した方が実は幸せへの近道という訳です。

◆幸福の因子分解
 アンケート調査(1500人)の回答を数値解析した結果、4つの幸福の因子が導き出されました。
 幸せを目指すには、この4つの因子を身につければよいという訳です。

  ・自己実現と成長の因子・・・「やってみよう!」因子
  ・つながりと感謝の因子・・・・「ありがとう!」因子
  ・前向きと楽観の因子・・・・・「なんとかなる!」因子
  ・独立とマイペースの因子・・「あなたらしく!」因子

 この4因子を実践すれば、幸せになる・・・というのがこの本の核です。

◆幸福度調査
 私が全国地域リーダー養成塾(地域活性化センター)での卒業論文のテーマは「幸福度調査」でした。
 ですので、この「幸福感」については、その当時いくつかの論文を読んだり、ブータンの幸福度調査や荒川区のGAHなどを調査したり、どのように幸せを感じるかにはもともと興味がありました。
 これまでの研究でも、年収と幸福度は相関しないことが分かっていたりしていましたが、この本の言う「非地位財」が幸福感を長続きさせることや、4つの因子の連携など、今までモヤモヤしていたものが、すっきりした気がします。
 きちんとした調査から、データから幸福のモデルを導いている。
 そして、その成果が私の感じていたこととフィットする。
 何だか、爽やかな、そして、高揚感がある本でした。


◆幸せは間接的にやってくる
 幸せという状態を作るには、必ず、別のアクションを取らなければならない。
 このあたりが、難しく、わかりづらい。判断が間違ってしまう原点かも知れません。
 幸福の要因はたくさんあって、これらを目指すと、間接的に幸せになれる。
 逆に言うと「幸せになりたかったら、幸せになることを直接的に目指してはならない」ということなのだそうです。
 これが、4つの因子というわけです。


この本では、幸福のメカニズムをモデリングしています。
もちろん、モデルですから100%ではないかもしれません。
でも、心の振る舞い方、行動の仕方などたくさんの気づきをいただける本でした。


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