2021年4月8日木曜日

「同調圧力」

 「同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか」
 (鴻上尚史 佐藤直樹 講談社現代新書 840円+税)
 読了しました。
 

鴻上尚史さんと佐藤直樹さんの対談です。
さくっと一気に読めてわかりやすかった。
「世間」と「社会」についての考察は興味深いです。
 
息苦しさの正体は『同調圧力』で、それは自分が属する「世間」を守るために発動するもの。
「世間」に属する個人が、世間のルールに従って判断し行動します。
コロナ禍にあって、同調圧力のマイナス面が明確なかたちで現れているという指摘にも納得です。
日本語に性別の差が見られる点は目から鱗でした。

同調圧力には安心もありますが、息苦しさもあります。
そのバランスが難しい。
行きすぎると、今の自粛警察や感染者差別に繋がって行くという訳です。 

息苦しさから脱するためには、自分が属する「世間」の数を複数に増やして「世間」の風通しをよくすること、複数の弱い世間に所属することが有効だと指摘します。
 
佐藤さんの指摘する、世間を構成する4つのルール。
  • お返しのルール
  • 身分制のルール
  • 人間平等主義のルール
  • 呪術性のルール
なるほどなぁと思いました。

鴻上さんが指摘する世間の特徴5つにもなるほど。
  • 贈り物は大切
  • 年上が偉い
  • 同じ時間を生きることが大切
  • 神秘性
  • 仲間外れを作る(拝他性)
息苦しさの正体がわかると気が楽になりますよね。
対処の仕方も見えてくる。
この息苦しさは、自分が悪い訳でも、責任がある訳でもない。
 

がんじがらめに縛られている糸を、少し緩めるきっかけになると思います。


2021年4月7日水曜日

映画「まともじゃないのは君も一緒」

 映画「まともじゃないのは君も一緒」を観てきました。


恋愛ものであり、コメディでもあり、時々深い。。。
成田凌さん、清原果耶さんの軽快なやり取りがとても心地よかったです。
肩の力を抜いて観られました。

タイトルにあるように『まともじゃない』と気づく二人が「普通」を探していきます。

『普通』ってなんだろう。

成田さん、素晴らしいですね。
いかにも挙動不審なのですが、指摘されるまでは自分自身ことを「普通」であると感じていた。
清原さんの喜怒哀楽も素敵でした。
「普通」を定義しながら、普通がわからない。。。高校生の可愛らしさ。

「普通」という言葉に明確な定義はないのかもしれません。
「自分の普通」と「みんなの普通」。
本来違ってよいはずなのに、同質を求められる圧迫感。
ちょうど読んでいた「同調圧力」(鴻上尚史 佐藤直樹 講談社現代新書)の『世間』とリンクして、じわっと刺さりました。


2021年4月1日木曜日

「エッセイ脳」

 読了しました。
「エッセイ脳 800字から始まる文章読本」
 (岸本葉子 中央公論新社)

少し柔らかい文章も書けるといいなぁと感じていまして、それなら「エッセイ」だと思い、この本を手に取ってみました。
 
ビジネスの場で書く文書は、どちらかというと正しく情報を伝達することが目的。
そうではなく、読み手の共感を得る、感情に働きかける文章が書けるようになりたいと思います。
 
この本では、『起承転結で一番言いたいことは「転」に書く。』と指摘します。
え?普通は「結」ですよね。
しかし、エッセイでは「ある、ある、へえ〜、そうなんだ」の「へえ〜」が書き手の一番感動したことであり、一番伝えたいことなのだから、中心は「転」ですよ、と著者は述べます。

目から鱗ですよね。ビジネス文書とは、根本から構成が違う。
800字~1,600字という文字数の範囲内で、読み手を意識した、伝わるエッセイの書き方を学ぶことができます。 
 
他にも、読み手の感情に作用するテクニックを、シンプルにわかりやすく解説しています。
ちょっと煮詰まったとき開きたくなる一冊です。